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2018年2月12日 (月)

こんな谷川健一さんの文章を読んでいると、強い共感をおぼえ、こころが震える。

上野の国立科学博物館で開催中の南方熊楠展を見に行ってきた。

海外から帰国すると、地元の和歌山県田辺市の自宅に籠もって、生涯ほとんど旅行もせず、キノコや粘菌といった地味な生物を研究した風変わりな在野の学者。
厳つい風貌と、上半身裸で撮った写真の印象が強くて、何か惹きつけられるのだが、存在が大きすぎて、この人をどうやって捉えたらいいのか、とまどうばかりだった。

そういう意味では、この小さな企画展は、等身大の熊楠を感じるには、ちょうどいい。
その情報処理術がいまのインターネット時代になって初めて日の目を見るような部分がある。熊楠は情報を集めるだけ集めて、論文にまとめることが出来ずに亡くなってしまったので、現在研究者のグループがその業績を電子化する作業に取り組んでいるらしい。

ただ、どこか物足りないものがあったのも確かで、それは何だろうって、あれこれ考えていて、見つけたのが谷川健一さんが書いた『独学のすすめ』と言う本。

熊楠は当時のエリートコースを歩んでいた人だが、学校を退学し、さらに親に頼み込んで海外留学して、そこでも学校を辞めて、独学で自分の好きな方向に行ってしまう。
企画展は既存のアカデミズムの枠内で活動する研究者たちが、まとめたモノで、子ども達も訪れる場所なので、行儀良く綺麗にまとまっているけど、ワタリウム美術館がまとめた『クマグスの森』を読むと、熊楠は人肉食とか、セクソロジーとか、かなり怪しい研究もしていた人だった。
また、西洋の知に対して、東アジアとか、日本の知にこだわった人で、柳田国男とシンクロしていたのも、その部分だったわけだから、そのあたりをスルーしてしまうと、あまり面白くなくなってしまう。谷川さんはこんな風に書く。

知識を自分の手で選びとり、自分の目でたしかめるという姿勢で一貫しています。(中略)
それゆえに文章は血肉となり、そしてまた、骨格を備えたものとなっているのです。われわれがそれを読むときに精神の高鳴りをおぼえ、鼓動を感じる文章が生まれるのです。

こんな谷川健一さんの文章を読んでいると、強い共感をおぼえ、こころが震える。

そして、日本地名研究所を作って、地名を守る活動を行った谷川さんの仕事は、熊楠の神社合祀反対運動に繋がるものだという。

谷川さんの仕事も見逃せなくなってきた。

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