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« 西洋人は、日本が平和のおだやかな技芸に耽っていたとき、日本を野蛮国とみなしていたものである。だが、日本が満州の戦場で大殺戮を犯しはじめて以来、文明国とよんでいる。 天心が亡くなって100年、そろそろ、目覚めないと、天心に叱られるぜ。 | トップページ | 長い時間をかけて、日本人が培ってきた「手の知性」って、ほとんど失われて初めて、大変な日本の財産だったんだって、気づいた。 »

2016年9月 4日 (日)

いまはもっと切実で、『人間復興の工芸』というテーマが老若男女を問わず、みんなの課題になりつつあるから、ぼくはDIY普及プロジェクトの青空公房を始めて「懐かしき未來」を、作っていることの意義に、気づかされた。

いま、奥付に1990年発行と書いてある柳宗悦『手仕事の日本』を読んでいる。

30代のころ、那須町に通い始めた当時、手を動かしてモノを作る愉しさを知り、柳宗悦に共感を覚え、『民芸四十年』というアンソロジーをボロボロになるまで読んだ。

さらに家族旅行で行った沖縄のホテルで「琉球の富」というエッセイを読んで、グローバル経済システムに対抗するローカルな社会や経済システムを柳の思想から学んだけど、どこか違和感を感じる部分もあって、やがて関心が薄れてしまった。

この本も買ってすぐに目を通して、読む価値なしと判断して、放り出して、四半世紀の歳月が流れている。そのときは、理論的な柳の本と違って、具体的な事例を紹介することが目的の本だから、取り上げている事例が古くて、利用価値が低いと判断したんだと思う。

戦後すぐに出版されたから70年以上前の本だ。当然、紹介された工芸品で消滅したモノや、産地も多い。

そんな積ん読組の代表選手だった『手仕事の日本』なんだけど、いま読むと戦前の工芸史の本として、読みごたえがあるし、繰り返しが多くて、読み疲れてしまう工芸理論の本より、読みやすく、分かりやすく、実例に則して居る分だけ、突っ込み所満載で、一気に愛読書の仲間入りしてしまった。

柳の工芸理論って、見本を示すべき作家と、それ以外の無学な工人の格差が大きくて、愛のない冷たい理論だなあって思っていたけど、『手仕事の日本』では、長い冬場の農閑期に、室内で一生懸命手を動かす農家の人たちを温かい目で見守っている心情が伝わってくる。

ぼくが柳宗悦や民芸に興味を失ってしまったのには、いくつもの理由があるのだが、そんなボクの不満を一気に解消してくれたのが、出川直樹『人間復興の工芸』。

詳しくは読んでいただくしかないのだけど、内田雄造さんという方が書いている解説に共感した。
そこに書かれたことは、19年後のいま読むと、まだまだ世の中が安定していた古き良き時代の解説だったなと思う。
いまはもっと切実で、『人間復興の工芸』というテーマが老若男女を問わず、みんなの課題になりつつあるから、ぼくはDIY普及プロジェクトの青空公房を始めて「懐かしき未來」を、作っていることの意義に、気づかされた。
ちょっと長いけど引用します。

「市民に開かれた工芸活動を」

特に本書では、出川が市民に対してはつくる喜びと人間性回復の場として手工芸を位置づけると主張している点が注目される。自由時間の増大と高齢化社会の実現の中で、市民、特に高齢者の生きがいをいかに保証しうるかが今日問われている。福祉や南北問題といった社会的な活動、市民農園やクラインガルデンの耕作といった自然との関わりとならび、手工芸もこれから市民の自己実現の有力な有力な分野となろう。
 以前、私の母は、東京郊外の駅の近くで手工芸品のブティックを開いていた。ここでは出品者が自らの作品に値段をつけ、母は一定の手数料をいただくというシステムであった。定常的な出品者は百人を越え、作品の質も高く、出品者が同時に顧客であり、常連客のサロンとして、そこではさまざまな情報交換がなされ、ささやかではあるが地域の文化の拠点になっていた。私はこの母の試みから、きたるべき社会における一つのモデルを見た思いであった。

この一文を読みながら、ぼくは「懐かしき未來 その1」で取り上げた国府台Tree-Bを思い出していた。
今年の春先からずっと、きものと手仕事をめぐる長い旅をしている。
出川直樹さんのこの本に出会って、まるでパズルのラストピースを見つけたような気分だ。
爽やかな秋風が吹き始めて、本作りも、そろそろ大詰めかな。

チベット出身の女性歌手alanの「懐かしい未来」を。

ぼくの本は「懐かしき未來」だけど、細かいことは、まいっか。

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