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2016年5月22日 (日)

沖縄で、今回のような悲惨な事件が起きる度に不毛な基地論争が起こる。 こんな時期だからこそ一人でも多くの人に、戦前の柳宗悦の仕事を知っていただき、「琉球の富」って何なのか、ひいては「日本の富」って何なのか、考えてみたい。

先週も忙しくて更新をサボってしまったので、2週間ぶりのブログ更新。
ヒマがないから、ちょっとヒマが出来ると本ばかり読んでいて、どうもあんまり活動的とは言えず、何のために仕事しているのかわからなくなる。そろそろ那須に逃げなきゃいけないかもしれない。

そんな忙しない中、かみさんが、初孫のために息子の兜を押し入れの奥から引っ張り出したら、兜の中に何と、1994年にかみさんと当時8歳の息子と、なけなしの財布をはたいて家族三人で行った、最後の家族旅行「沖縄の旅3泊4日」のパンフレットやチケットがワンサカ入ったクリアファイルが転がり落ちてきた。

Photo

当時はもの凄いビンボーだったし、スマホなんてモノもこの世になく、ろくなカメラも持っていなかったので、写真はほとんど残っていない。
文章を書く習慣もなかったので、手帳に記録するという発想もなく、記憶をたどるしかなかった沖縄旅行が色鮮やかに蘇った。

沖縄で一番記憶に残っていることは、初日の晩。
かみさんが一人で企画した旅行だったから、事前準備も何もせずに行き、タクシードライバーの喜屋武さんの説明もうわの空で聞いて、何も頭に入らない。
これじゃつまないなあと思って、たった1冊、何か役にたてばと思って、旅行カバンの奥に放り込んだ柳宗悦『民芸四十年』の中の「琉球の富」という一章を貪るように読んだ。

60年近い人生で、あれほど精神集中して本を読み、読み終えた瞬間に、劇的に自分が生まれ変わったように感じた体験は、他に記憶がない。
それくらい柳宗悦の「琉球の富」は圧倒的だった。
しかもその文章が戦前昭和14年に書かれているって、すごい。
長い引用だけど、大事な文章なので、所々端折りながら、載せてみる。

沖縄は地理的にはむしろ大和の本土よりも、支那の福州に近いので、さぞ支那の影響が大きいだろうと想像されるかも知れませんが、事実は逆で、その言語も風俗も建築もほとんど凡てが大和の風を止めているのです。
それ所ではなく、日本の何処へ旅するとも、沖縄においてほど古い日本をよく保存している地方を見出すことは出来ません。
粗忽にも沖縄を台湾の蕃地の続きの如く思ってはなりません。

(中略)

ですからもう一度新しくまた正しく沖縄を見直すことは大切なことのように思われます。
それに私たちが親しくその地を踏み、眼に耳に口に様々なものを味わうことが出来てから、沖縄を語ることに特別な意義や使命を感じ出しました。
なぜなら私たちには予期だにしなかった驚きが次々に現れて来たからです。
私たちは如何に感謝を以てそれらのことを迎えたでしょう。
私たちは沖縄で学ばねばならぬことが如何に多いかを知ったのです。
そうしてこんな土地がこんな状態で今なお地上に残されていることを奇蹟の如くに感じました。
ですがそれらのことについては、今まで誰も充分に語ってくれてはいないのです。

(中略)

不幸にも私たちは余りに長い間、沖縄の貧しさについてのみ聞かされて来ました。
こんな小さな貧乏な島はなく、島民は文化に立ち後れて、逼迫した生活に悩んでいることを聞かされていました。
そうして当事者の努力はどうしたらこの島々を貧窮から救うことが出来るかということに注がれて来ました。

(中略)

ですが私たちからすれば、まず以て沖縄が有つ富について考えないわけにゆかないのです。
人文的に見るならば驚くべき財産を有つ国とより思えないのです。
なぜこれらの富を守り栄えしめることによって、沖縄の運命を切り拓こうとしないのでしょうか。
貧しい一面よりも富める一面をよくよく理解することが、真に沖縄を救う道ではないでしょうか。

平成ジャパンのおバカになる一方の日本人の横面を張り倒すような、柳宗悦の今読んでも生々しく胸に迫る文章に、ぼくはノックアウトされた。だから少しでも多くの人に読んで欲しい。

今は青空文庫で無料開放されているから、ネットに繋がっている人なら誰でも読める。
真の愛国者が弾圧を恐れずに書いた魂の一文が、ここにある。
権力を笠に着て、安全な場所で吠えている自称作家たちには、一生かかっても書けないような心を打つ文章がここにある。

沖縄で、今回のような悲惨な事件が起きる度に不毛な基地論争が起こる。
こんな時期だからこそ一人でも多くの人に、戦前の柳宗悦の仕事を知っていただき、「琉球の富」って何なのか、ひいては「日本の富」って何なのか、考えてみたい。

たくさんのバージョンがあるスタンダード曲だけど、ユスー・ンドゥールをフィーチャーしたアレンジが抜群にカッコイイ、坂本龍一の「安里屋ユンタ」を今日の一曲に

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