みんなの心の中に、偏狭で幼稚なナショナリズムではなく、健全な愛郷心の種をまいてみたい。
大好きだった連続テレビ小説『花子とアン』の番外編をやるっていうので、久々に紅白歌合戦を見てしまった。
美輪明宏の「愛の賛歌」は見たかったけど、演歌歌手は坂本冬美くらいしかわからないし、名前も知らない若い歌手も多くて、あまり期待せずにダラダラと見ていて、終盤に差し掛かったところで登場したのがサザン・オールスターズ。
決して嫌いではないが、深い思い入れもなく、アルバムを買ったことのないバンド。
ほぼ同世代なので、汚い格好で「ザ・ベストテン」に初登場したときから覚えてる。
ルックスも冴えないし、どことなく素人くさい感じがして、好きな曲もあったけど、特にファンではなかった。
そんな僕だから31年ぶりの紅白出演という感慨もなく、「ピースとハイライト」という曲が始まった。確かフォルクスワーゲンのコマーシャルソングだったっけ、程度の認識で。
そして、その曲が終わった瞬間に、ぼくはサザンの大ファンになっていた。
チャップリンが演じたヒトラーを連想させる桑田佳祐のチョビ髭、風刺の効いた歌詞、そこに鬼気迫るものを感じて、聴いているうちに、目頭が熱くなった。
多くの国民が見る番組で、全く萎縮せずに真っ正面から、為政者たちを批判する歌をうたうサザンの勇気はかっこよすぎる。
イラク戦争に反対して、「イマジン」を歌ったニール・ヤングを見た時と同じように、ゾクゾクした。
久々に、ホント久々に、メジャーな日本人アーティストにロック魂を感じた瞬間でした。
これで、もう二度とサザンが紅白に登場することはないかもしれないけれど、歌う前に「還暦を過ぎたメンバーもいるから云々」とコメントした桑田さんの断固たる決意のようなものがヒリヒリと伝わってきて、僕は死ぬまで、昨日の演奏の衝撃を忘れないだろう。
戦争をせずに、国土と国民の命と財産を守るすべを考えて実行するのが、古今東西を問わず上質な政治家。国民の不満を外へ向けることで、内政の失敗を誤魔化すのは最低の政治家。近隣の国の為政者たちが、もしそうだったとしても、日本まで同じレベルの為政者に全権委任する必要など、これっぽっちもないし、みんなの心の中に、偏狭で幼稚なナショナリズムではなく、健全な愛郷心の種をまいてみたい。
近隣の全体主義体制とは違う自由主義国家の住民としてプライドを持って、真っ直ぐ前を向いて歩いてゆきたいって、強く思う。
今年は、サザンに刺激されて熱い元旦になった。
一年の計は元旦にありってことかな。
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