40数年の歳月を経て、当時の映像を観ていて思うのは、ニューロックなどのカウンターカルチャーってアメリカがベトナム戦争の泥沼にはまっていたからこそ、花開いた文化だったのかもしれないということ。
1960年代から70年代にかけて、アメリカやイギリスではニューロックに代表される新しい文化(カウンターカルチャー)が生まれ、たくさんのバンドやアーティストが登場して、ウッドストックのコンサートのような時代をリードするムーブメントがあった。
ぼくが中学生だったあの当時は、圧倒的に情報が不足していて、コンサートに行くお金もないし、ましてや海外旅行は夢のまた夢だったから、ラジオ番組でFENを聴いたり、ビデオのない時代、時たま放映されるテレビ番組や映画館でロックコンサートの様子を食い入るように観た記憶がある。
それが有り難いことに、今は当時の映像もYouTubeで簡単に見ることができる。
あの頃は意味も分からず、とにかく海外のミュージシャンはすごいなあなんて、感心していたけど、40数年の歳月を経て、当時の映像を観ていて思うのは、ニューロックなどのカウンターカルチャーってアメリカがベトナム戦争の泥沼にはまっていたからこそ、花開いた文化だったのかもしれないということ。
イギリスのロックに比べて、アメリカン・ロックはノー天気で、軽いっていう人もいる。
だけど、アメリカの若者は徴兵制が廃止される1973年までは、自国を守るためじゃなく、遠い異国のベトナムの戦場に送られる恐怖の中で、暮らしていたわけでしょ。
そう考えると、ものの見方も変わってくる。
そして、1975年にベトナム戦争が終わって、アメリカン・ロックは急速に解体していったように思えて仕方ないのだ。
ロックの葬式と言われたザ・バンドの「ラスト・ワルツ」が1976年。ロック・スピリットの消失を歌ったイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」も同じ年。
翻ってぼくたちの国を思うと、沖縄以外の日本では、戦争はどこか遠い異国のことで、切迫感がないまま、戦後70年近い時間が流れてしまったのかなあと感じる。
ベトナム戦争時代の沖縄で活躍した若いロックミュージシャンを描いた『喜屋武マリーの青春』という本を読んだことがある。
先日の県知事選挙の結果を見ても、第二次大戦後も戦争と絶え間なく向き合ってきた沖縄だからこそ、本土と違って、強固な自治意識が健在なのかなと思う。
本土の人間にとっては、どこか借り物の戦後の民主主義。
基本的人権も労働三法に記された労働者の権利も、多くの国民にとっては苦労して手に入れたものじゃないから、何の抵抗もなく手放してしまう。
ほとんど冗談のような自民党の憲法草案を、多くの国民は見たのか、興味もないから見ないのか知らないが、このままズルズルと時代は転がって、気がついた時には全体主義体制に転落しているのだろう。
かつて西側の自由主義社会だったはずの日本は、風前の灯火だけど、それも国民が選択したのなら仕方ないと思う。
40年前のアメリカのように多くの若者が遠い異国の戦争にかり出されて、たくさんの血が流れて、そうなって初めて、本土におけるカウンターカルチャーはスイッチオンになるのかもね。
1972年にリリースされたシカゴの「サタデイ・イン・ザ・パーク」。
バリバリのロック好き少年にはポップなヒット曲だとしか思えなかった。
ところがアメリカ独立記念日の土曜日、公園でくつろぐ人々の様子を歌ったこの歌をYouTubeで聴いたら、見方が変わった。
遠い異国の戦場に行かず、平和な公園で過ごす若者の生きる喜びが胸に迫って、グッときた。
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