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2014年8月

2014年8月31日 (日)

都道府県別魅力度ランキング最下位というのも、なるほどと納得する。 自分で情報を取りに行かない、軽佻浮薄な現代人に、茨城の魅力などわかりゃしない。 いや、わかられちゃ困る。このブログを読んでいる人以外には。

長い間、行ってみたいと思っていた笠間に、昨日はじめて行った。
友人から、「益子よりいいよ」って聞いていたけど、何か用事がないと、なかなか行けないもんでしょ。

回廊ギャラリー門で、陶芸家高橋協子さんの個展と、パートナーの寿夢子(山口由美)さんによる昔語りのイベントがあるということで、「土浦懐かしき未来塾」の仲間に誘われて、
ヒョコヒョコ付いていった。

さっそく、笠間芸術の森公園から見下ろすと、小高い丘が連続して水墨画のような景観に引き込まれる。
まるで、隠れ里に入り込んだような気分で、いつまでもここに佇んでいたくなる。
案内してくれた女性Nさんが、この町に通う気持ちがよくわかる。

そんな笠間の中でも、一際目をひくハイセンスな空間回廊ギャラリー門で、古い民話を聞くのである。
公式ウェブサイトより詳しい紹介のあるサイトを見つけた。

回廊ギャラリー門

まるで土浦から来た我々一行を歓迎するかのように、玄関の前でハスの花がお出迎え。

201408301

20140830_3

回廊を吹き抜ける穏やかな風が、たまらなく心地よく、強い日差しを優しくしてくれる。
拍子木が鳴って、昔語りのイベントが始まると、昨日まで灰色のビル街で忙しなく働いている普段の会社員生活を忘れ、幻想的な物語の世界に浸り、心が解放されて行く。

寿夢子さん、高橋協子さん、ふたりのコラボレーションを堪能した後、
笠間の町を散策する。

先週、江戸期の俳人で画家である与謝蕪村について、少しだけ学んだ。

20代の若き日、今の茨城県で暮らした蕪村もこんな景色をみたのだろうか。

そして、牛久の小川芋銭研究センターで北畠先生から与謝蕪村と、その最大の継承者小川芋銭の関係について教えていただいたことを思い出した。

小川芋銭研究センター

知れば知るほど、茨城は面白い。そして、深い。
急ぎ足で観光しようとすると、薄っぺらで安っぽい部分しか見えない。
ところが、ひとたび、腰を据えて入って行くと、興味の尽きない土地であることに気づく。
あまり知られていないのは、首都圏の都市と違って、情報を発信する力が不足しているだけだ。

都道府県別魅力度ランキング最下位というのも、なるほどと納得する。
自分で情報を取りに行かない、軽佻浮薄な現代人に、茨城の魅力などわかりゃしない。
いや、わかられちゃ困る。このブログを読んでいる人以外には。

さあ、感度の鈍い人たちが注目していない今のうちに、土浦を拠点に、牛久や笠間で、あるいは霞ヶ浦周辺の水郷地域で遊ぶ贅沢を楽しみましょう。こっそりとね。

2014年8月24日 (日)

きっと、土浦の家々に残る古いアルバムには、こんな美しい南田洋子の写真が眠っているに違いない。

母親が古いアルバムを整理して出てきたからと、こんな写真を貸してくれた。

001

俳優の南田洋子が、デビュー直後に母校を訪れて、女学校時代の恩師と写した写真だという。

母はクラスは違ったが、南田洋子と同学年で、土浦第一高等女学校(現:つくば国際大学高等学校)を卒業した。

南田洋子は、卒業後単身上京して、お茶の水の文化学院に進学し、その後俳優になった。

当時、彼女の母親が経営する呉服店が土浦駅前にあり、実家は荒川沖だったから、独身の彼女が土浦に来ることも多かったと思う。

以前下記のエントリで書いたけど、当時の文化学院には西村伊作が健在で、校舎の地下に窯場を作ったりしたころだったが、彼女は伊作から深い影響をうけたのではないかと思う。

南田洋子が後年、自ら図面を引いて十数年ごとに自宅建て替えをしたことや、陶芸を趣味にしていたエピソードなんか、まさに伊作直伝じゃないかなんて、想像してしまう。

21世紀になったのに、いまだに専門家を信じて、だまされ続けてきた愚かなぼくたちに、「まだそんなことやっているのか」って、伊作は天国から、警鐘を鳴らしているに違いない。

それにしても、この写真に写っている南田洋子は美しい。

まばゆいばかりの輝き。

素人が写したスナップ写真なので、リラックスした自然な表情が素敵だ。

テレビで見た晩年の介護される姿は痛ましく、見なければよかったと後悔した。

きっと、土浦の家々に残る古いアルバムには、こんな美しい南田洋子の写真が眠っているに違いない。

あああ、見たいなあ。

エリック・サティの「あなたが欲しい」を若き日の彼女に捧げよう。

2014年8月17日 (日)

ぼくも、こんな時代だからこそ、もう一度原点回帰して荷風の「人を押しのけ弱肉強食に突き進む日本近代社会への、第一級の抵抗の詩」に耳を傾けてみるとしよう。

荷風に帰ろうと思う。

これから、少し時間をかけて、本格的に荷風を読み直してみよう。
「新葛飾土産」なんて、タイトルを掲げたブログなのに、荷風さんとは長いこと疎遠だった。

ここ数年、時折、『断腸亭日乗』を拾い読みする程度で、この巨人と向き合ってこなかった。
戦後の、市川時代の荷風を取材しようと試みたが、顔見知りの市川在住の方々が何冊か力作を発表したこともあり、自分の仕事がなくなった感もあった。

このお盆休み、時間がたっぷりあったのに、連休最後の日曜日の夜になっても、論文や小説どころか、ブログすら書けない。

仕方ないので、昼間から酒ばかり呑んで、胃が痛くなり、夜中に目が覚めるような体たらく。

いったいどうしたんだろう。かなり強烈なスランプ状態。
イライラが頂点に達したとき、思い出したのが永井荷風だった。

評論で大好きなのは、持田叙子さんの『朝寝の荷風』

ページをめくるたびに、こりこりに固まった頭を、緩やかに解きほぐしてくれる快著。
持田さんに出会った瞬間から、数多いる男性の評論家たちの作品が、全部古くさく感じてしまう。
サントリー学芸賞を受賞した『荷風へようこそ』も名著だが、衝撃の大きさで『朝寝の荷風』に軍配が上がる。
持田さんを通して、荷風に戻ってみる。
これで少しだけ、希望の光が差してきたかな。
そう。いままであまり着目していなかった『江戸芸術論』や、漢詩人、俳人の荷風を見つめ直してみよう。
持田さんが『朝寝の荷風』の「あとがき」にこんな素敵なコメントを書いている。

今、私にはそこからしきりに、人を押しのけ弱肉強食に突き進む日本近代社会への、第一級の抵抗の詩が聴こえてくる。荷風流のこのしなやかなラ・マルセイエーズにもっと耳を傾けよう、そしてこちらの読書技術を磨き、高雅な漢文脈を駆使する荷風にも近づきたい、というのがこれからの願いです。

その努力の結晶が『荷風へようこそ』で、世田谷文学館の「荷風展」にも繋がってゆく。

ぼくも、こんな時代だからこそ、もう一度原点回帰して荷風の「人を押しのけ弱肉強食に突き進む日本近代社会への、第一級の抵抗の詩」に耳を傾けてみるとしよう。

ザ・ローリング・ストーンズが迷いを振り切って、原点回帰した名曲「ジャンピンジャックフラッシュ」が、今夜は気分。


2014年8月10日 (日)

ぼくも「自分の文化、地域、先祖の歴史に根ざした」パトリオティズムに、微かな希望の芽を感じている。ちょっと、地域史や文化の扉を開くだけで、豊かで広大な世界が待っている。

今年を振り返るにはまだ早いけど、いろんなことがあって、めまぐるしく時間が流れた。
二月の大雪の中、土浦という古い城下町を散歩して、城藤茶店を始めたばかりの工藤祐治さんと出会ったこと。
四月から土浦に仲間が集まって、定期的に会合するようになったこと。
五月には牛久沼のほとりで、小川芋銭を研究する北畠健さんを訪ねて、お話をうかがい、幻想的な景色の中を散歩したこと。
そして、20代の頃好きだったアーティスト上田知華が久々に発表したアルバム歌曲集「枕草子」リリース記念コンサートに足を運んだこと。

一年前の今頃は、想像すら出来なかったことが次々と起きて、頭がクラクラしている。

今春突然結婚した息子の家に行って、松岡正剛と写真家エバレット・ブラウンの対談集『日本力』を持って帰り、急いで再読した。
自著では、やや難解で、話をはしょり気味に、めまぐるしく展開する松岡氏が、ここでは対談と言うことで、ゆっくり、じっくり時間が流れてゆく。
ブラウン氏の写真集として眺めても、美しい本で、何度読み返しても飽きない。

松岡:
日本が今、失っているもの、勘違いしてることにナショナリズムとパトリオティズムを混同していることがあるんです。
パトリオティズム、つまり愛郷精神はとても大事です。「郷」とか「郷土」といって抵抗があるなら、たんに「土」といってもいいんです。これがローカリティなんですが、日本はいつのころからか、ローカリティをナショナリズムに結びつけてしまった。「美しい国、日本」と安倍元首相は言いましたけれども、それはそもそも無理な語法です。「国家」のひとつ下の単位にローカリティとか土発性、土着性があるわけだから、国家である「日本」と、ローカリティであるところの「美しい国(土)」というのは単位がずれている。そこを無理矢理つなげてしまうのはよくない。

ブラウン:
ナショナリズムは権力者などが計画的につくったものです。それは前世紀的な発想から生まれたものですけど、その必要性はもう終わっていると思います。
それにくらべて、パトリオティズムはまだ有効ですし、健全ですね。パトリオティズムというのは自分の文化、地域、先祖の歴史に根ざしたもので、自分とローカリティのつながりの中で自然に発生する力です。ここから「和の国」が誕生するんだと思います。

3年ほど前に読んだ時に、マークした部分を再読する。
身近な自分の周囲にいる人々を見回しても、日本社会に蔓延するナショナリズムとパトリオティズムの混同の問題が、当時以上に切実さを増していることにやりきれなさを覚える。

人々は希望を失い、偏狭なナショナリズムに逃げ込んで、日本というくにの未来にある可能性に自らふたをしてるように見える。

若い頃、中世や近世のヨーロッパの歴史を少しだけかじったことがある。
スペインで、イタリアで、フランスで、ドイツで、そしてイギリスで、国家レベルのナショナリズムと違う、都市や地域の力、先祖や歴史を大切にする力に目を見張った。
そういった地域の力が、経済の分野で、中世にはギルドのような職人や商人連合を生み、現代はバスク地方のモンドラゴンのようなワーカーズコレクティブ連合体を生む。
さらに、スポーツの分野ではサッカーのクラブチームをひとつの頂点とする地域総合型スポーツクラブを動かす。

そして、石炭から石油へのエネルギー革命で使われなくなった水路にふたをするのではなく、観光目的に転用し、ナローボートでの家族旅行を楽しむイギリス人の機知。

ヨーロッパ人に出来たことは、優秀な日本人なら可能なはずと心に刻んだ。

ブラウン氏はこの対談の最後にこう述べている。

残念ですね。でも、もしパトリオティズムが出てくるのであれば、日本はリキッド・ソサエティ(※)の状態から脱却できると思います。
というのもパトリオティズムは、ナショナリズムより心の中になる潜在的な力とつながっているからです。
(※社会が液体のようになってしまって世界と「私」との間に境界線が引けない。自分と世界のあいだに、ほとんど距離がなくなってしまっているということ、ケータイ電話で自分が世界とつながっているという錯覚)

ぼくも「自分の文化、地域、先祖の歴史に根ざした」パトリオティズムに、微かな希望の芽を感じている。

ちょっと、地域史や文化の扉を開くだけで、豊かで広大な世界が待っている。

「夏は、夜。月のころはさらなり」

「花も、風も、月も。世界は、美しいもので、できている」

歌曲集「枕草子」から「私の好きな月」

2014年8月 3日 (日)

偉い人たちよ、霞ヶ関や永田町界隈で、蠢いている時間があったら、坂を下りて日本の隅々まで、自分の足で歩いてごらん。ローカル線やバスに乗って。

週末に仕事で大阪にいったり、慌ただしかった一週間。

四国では大雨が降って、死者もでた。

高月美樹さんの『和暦日々是好日』を繙くと、8月2日は第三十六候「時折、大雨が降る」とある。

大昔の先祖たちの叡智に、ギクッとする瞬間だ。

予測できない株価に一喜一憂する為政者。

自然はそんな人間の愚かさを見透かすように、猛威をふるうこともある。

南方という新大阪の隣の小さな町で食べた串揚げの味や、芳賀徹の『藝術の国 画文交響』という本、まるで梅雨のような大阪の優しい雨。

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ひとつひとつの思い出が、心に沁みる。
それぞれが美しき日本。
それでいい。
それ以上でも、それ以下でもなく。
等身大のささやかな日本の宝。

なにゆえ、列強と呼ばれたい?
なにゆえ、世界一になりたい?

人々の暮らしとは無関係なところで。

宵越しの銭はもたない(いや、もてない?)なかで、楽しく暮らした江戸の父祖たち。

江戸期を代表するアーティストの葛飾北斎。

長野県のお寺にいまもある天井画。

Photo

80歳代の老人が描いたと思えない迫力と、モダンな美的センスに圧倒される。

もう。これだけで十分。

日本の誇り。そして、ちょっとだけ江戸東京下町の誇り。

偉い人たちよ、坂の上の霞ヶ関や永田町界隈で、蠢いている時間があったら、坂を下りて日本の隅々まで、自分の足で歩いてごらん。ローカル線やバスに乗って。

自分が本当に生涯かけて、取り組まなきゃいけない使命ってもんが、何なのか

よくわかるから。

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