まあ、おれのアホ加減は、どうでもいいとして、村岡さんの書いた『アンのゆりかご』(新潮文庫)を読み始めたら、これかなりの傑作評伝でした。
このところずっと大正文化を追いかけている。
そもそもの始まりは、長谷川堯『都市廻廊』辺りから関心を持ち始めたような記憶がある。
それがやがて、自著『ぼくたちの野田争議』になだれ込んで、産業史や社会思想史をかじってみた。
ところが、それでは終わらず、もっと柔らかいモノへの関心が、泉の如くわいてきて、
止まるところを知らない。
今のマイブームは女学生。
例えば稲垣恭子『女学校と女学生』(中公新書)とか弥生美術館・内田静枝編『女學生手帖』(河出書房新社 らんぷの本)とか。あと、大野らふ『大正ロマン着物女子服装帖』(河出書房新社)も、面白い。
今の女子高校生をイメージしても、全く違うので、大正の女学生は立体的に目の前で立ち上がらないなあって、悩んでいる。
そこに、突然、「村岡花子」が出現したのです。
もちろん、皆さんご存じのNHK連続テレビ小説『花子とアン』のことなんですが……。
おれ、恥を忍んで書いちゃうけど、去年、原作者の村岡恵里さんと一緒に酒を呑んだことがあるのかもしれない。
「かもしれない」ということは、つまり、あまりにも無知なので、そんなすごい人だって、全然知らないで一緒にいた可能性があるわけで、年下だと思って偉そうに話しかけたかもしれないと思うと、冷や汗が出るだけで、自慢にも何にもならないでしょう。
って、気が動転して、まともに文章になってないな。
どこで会った可能性があるかは、ご本人の許可を得ていないので、書けないけど、今さらながら自分の無知に、枕を濡らす、今宵の逆流亭写楽斎くんです。
まあ、おれのアホ加減は、どうでもいいとして、村岡さんの書いた『アンのゆりかご』(新潮文庫)を読み始めたら、これかなりの傑作評伝でした。
評伝とは銘打っているけど、小説より面白い。
大正の女学生が生き生きと描かれている。
注釈や年表や参考文献も充実していて、実にいい。
惜しむらくは索引がないことくらいかな。
たまたま、村岡さんに興味がわいて、読み始めたのだが、自分にとってはそれ以上の価値がある本だった。
あああ、もし、いつかお目にかかるチャンスがあったら、今度は、ちゃんと村岡さんだって理解して、旧幕臣と日本のクリスチャンの系譜や、大正の女性史について、質問したいなあ。
あああ、それにしても、恥ずかしい。
今宵は照れ隠しに、何百回聴いても大好き、ガーリッシュな名曲を。
若き日のトレーシー・ソーンのアルバム「遠い渚」から、「ファム・ファタール」。
ベルベット・アンダーグラウンドのオリジナルを凌駕する出来映えです。
« ということで、お帰りなさい知華ちゃん&皆さん、おはようございます。 なのだ。 | トップページ | そうか。 このどちらかの世界に近づくのではなく、どちらの世界も知っているのがいいんだ。 両方の世界を知っているのが、むしろ自分の長所なのかもしれないって、思えるようになった。 »
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1月から3月の間、NHKラジオで市原悦子による『赤毛のアン青春篇』の朗読全60回を聞いていました。今は、3ヶ月楽しんで来た番組が終わってしまって寂しい気分です。『アンのゆりかご』もヨメさんが図書室で借りて来て読んでいましたね。
投稿: ひづめ | 2014年4月 2日 (水) 08時26分
ひづめさん。コメントありがとうございます。「赤毛のアン」に関して、ぼくなんかより、ずっと先に進んでいたのですね。村岡さんと会ったかもしれないパーティの主催者からは、「村岡さんのことは何度も言ってます」って笑われちゃうし、穴があったら入りたい気分。
それにしても、いいタイミングで、この本を教えてもらって、やはり人と人の繋がりって大事だなと、痛感してます。
投稿: 逆流亭写楽斎 | 2014年4月 2日 (水) 12時42分