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2014年1月18日 (土)

自分が生きている時に体験した3.11という貴重な体験を、どのようにとらえ、その後の生き方に反映させるかによって、その人の価値が決まると思う。

中島京子の小説『小さいおうち』を読了。
週末に公開される映画を観る前に、読んでおきたかったので、なんとか間に合った。
まず、一読して思ったのは、重いテーマを読み手に突きつけているなあということ。
そして、登場人物の心境描写は最小限に抑制され、情景描写が丁寧に描かれていることで、成功しているなあということ。
だから、読み手の心の中に風景が浮かび上がってきて、昭和10年代の上質な日本の家庭に誘われているような、不思議な感覚にひたっているうちに、最後まで読み切ってしまう。
小説という自由度の高い文芸の形式を、見事に生かしている。
イタクラ・ショージ記念館や、「小さいおうち」という紙芝居作品が、実在するのかって、
ぼくも一瞬信じ込んでしまったほど、リアルなお話に仕上がっている。
ネットで検索すると、同じようにだまされた人が大勢いるようだ。
それだけ、リアリティに富んだお話だった。

未読の人には、ぜひ読むことをオススメします。

この作品を読んで、ぼくはどうしても戦前の昭和時代と現在の日本を対比させてしまう。
あまりメディアは取り上げないけれど、都知事選に立候補表明した細川護煕氏は、昭和12年~16年まで戦前の日本を首相として率いた近衛文麿の孫である。
東京裁判に臨んで「戦犯として裁かれなければならないことに耐えられない」として出廷を拒否して服毒自殺した人物。
『小さいおうち』では、日本を戦争に導いたこの人物が頻繁に登場する。
それまで続いた豊かで平和な暮らしが、明日も続くと信じて、目先の景気の良し悪しを論じていた庶民の姿は、安倍政権下のいまの日本人の姿と重なり、既視感に襲われる。
日本を戦争に引きずり込んでいった近衛さんの孫が、3.11を契機に、原発の抱えている問題を深く考えるようになり、過去の過ちを悔いて、原発依存社会から脱却するために、立ち上がった。
そして、小泉純一郎氏もそれに共感し、応援するという。
ぼくは、3.11で価値観が大転換した人と、変わらない人、日本人には2種類の人間がいると思う。

生家が自民党代議士の後援会という保守系の家庭で育ったから、改めて感じるのだが、人物を評価する際に、イデオロギーが右か、左かなんて東西冷戦時代の陳腐化した視点でとらえているうちは、いつまでも本質が見えてこない。

自分が生きている時に体験した3.11という貴重な体験を、どのようにとらえ、その後の生き方に反映させるかによって、その人の価値が決まると思う。

だから細川氏には深い共感を覚える。
さらに、安定した日本の中流社会を壊した小泉は許せないと思っていたが、今は3.11で価値観が変わった1人の人間として、誠実な政治家として、少し見方を変えなきゃいけないと思っている。

都知事選に原発の可否を問うシングルイシューは違和感があるなどと、一見もっともらしい意見を言う人もいる。

けれども、原発の問題は、目先の政治や経済の課題と一緒に論ずるようなレベルの問題ではなく、人類と大地の存続に関わる文明史的な大問題だ。

エネルギー政策だの、景気だの、コストだの、などと言っている人は、22世紀の社会に対してどのようなビジョンを持っているのか、聞いてみたい。

ぼくはエネルギーや住居や職場を都市に集中させて、生産や消費を効率化する20世紀型のやり方から脱却して、社会を構成する要素を広く分散する社会を作って、原発を乗り越えて行く先に、22世紀への夢や希望が広がっているって、信じてる。

何度も書くが、これは文明論の問題で、右だの左だのってイデオロギーには関係ないことを理解していただきたい。

原発に反対するのは左翼なんて言っているうちに、どんどん日本の国土や海が危機にさらされてしまうことを、小泉という保守政治家が教えてくれている。

おっと、話がどんどんそれてしまい、文章は長くなって、内容も重くなっちゃった。

それにしても面白いのは『小さいおうち』という一つの小説から、どんどんイマジネーションが広がるってこと。

久しぶりに、現代作家の小説を堪能して、とてもうれしかった。

今夜は気分がいいので、気分も軽くPizzicato FiveのOn The Sunny Side Of The Street

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