材木を切るのに1㎜以下の狂いも許せず、キリキリしていた過去がウソのようで、 野田知佑ばりに「のんびり行こうぜ」って余裕で言える自分を発見して、 何か不思議な気持ちになった。
土曜日の夜一泊して、那須高原に行ってきた。
ネットを見ると、那須高原の紅葉は終わりという案内が出ているので、
交通渋滞の名所、広谷地の交差点も閑散として、
驚くほどスムーズに現場に到着した。
那須高原に通い始めて20年になるけど、
小さな山小屋づくりの工事で通っていたのは、最初の5,6年。
仕事を手伝ってくれた数名の仲間も、子育てや本業の仕事に忙しくなって、
次第にプロジェクトも先細りになり、リフォームは地元の工務店任せで、
この10数年は、一切、自分の手を動かす仕事は止めていた。
そんなところに、昔の仲間Sさんから、手伝うからセルフビルドを再開しようとの
うれしい申し出。
長いこと、手つかずのまま放置された、コンクリートの壁を、あり合わせの木製の壁材で
温かく包むことにした。
針葉樹合板を買って、一気に覆うことも考えたけど、お金を使って、
手っ取り早く仕上げようという発想がそもそもない。
それより、使い残していた、色も木目も違う天然の壁材を、
一枚一枚、手で貼って行くのがいい。
コンクリート剥き出しの工事現場風景が消えて、一気に部屋らしくなった。
そして長いこと、出番を待っていた壁材が、活躍の場所を得て、うれしそうに見える。
深山ダムに向かう通り沿いにある、奥那須の幸乃湯温泉で、疲れを癒やしたあとは、
北海道出身のSさん、こだわりの札幌名物ベルのタレで、ジンギスカン鍋を楽しむ。
これも、立派な郷土料理。すごく美味しい。
あれから長い月日が過ぎ去ったけど、若さと一緒に衒いも消えて、心地よいこと、
楽しいことに対して、素直な気持ちになれる自分がいる。
材木を切るのに1㎜以下の狂いも許せず、キリキリしていた過去がウソのようで、
野田知佑ばりに「のんびり行こうぜ」って余裕で言える自分を発見して、
何か不思議な気持ちになった。
『Whole Earth Catalogue』の編集に携わったロイド・カーンは言う。
重要なのは、何も小さな家に住むことじゃない。小さな方向に向かうんだ。
(中略)
ただ自分でできることが多いほど、お金に左右されることも、権力に頼る必要も少なくなる。それが小さく始めるってことで、自分のスケールを知るってことだよ。
雑誌「エココロ」2012年秋号からの抜粋である。
« そんな名も無い庶民の話を、ゆっくりと、古き良き時代の情景を思い浮かべながら、 ゆっくりと、時間をかけて読む。 | トップページ | そんな懐かしい風景を見ながら、『未来のための江戸学』という本で、田中優子が書いたように、ぼくも「まだ間に合う」と思った。 »
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がんばっていますね。
私も今年の正月も自宅セルフビルドの予定です。
これで4回目の正月休みがなくなりそうです。
4回目になると逆にやる気が出てきました。
今年も元気で健康ということです。
投稿: DENZO | 2013年11月18日 (月) 22時24分
Denzoさん、コメントありがとうございます。20年前に比べて、体はボロボロ、力もなくなりましたが、そのかわり、作業を楽しめる心のゆとりのようなものが芽生えてきました。なんか、とってもハッピーです。
投稿: 逆流亭写楽斎 | 2013年11月20日 (水) 00時20分