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2012年6月16日 (土)

『荷風と東京』は、こんな風に川本三郎さんが自分の足で歩いて発見したワクワク感が満載されているから、名著になった。手を抜けば、あっという間に紋切り型で、平板になりがちな紀行文だけれど、紙上に幻景の町を再現してゆく技は、川本さんならではだと思う。

先日東京スカイツリーに行ったので、ライフスタイル研究家三浦展『スカイツリー東京散歩』を購入して、真剣に読んでみた。

こいつは散歩本というよりは、スカイツリーにつられて、うっかり隅田川を越えてしまった吉祥寺あたりの住人に、上野や浅草じゃないディープな下町を教えるための学術書だということがわかった。

初めて知ったことも書いてあって、学術書としては悪くないけど、下町への思い入れは全くなし。

三浦氏が自分の思い入れの深い、中央線沿線の好きな町とはちがう純粋な研究対象として、下町の住人たちの暮らしを見ている。

そこが同じように山の手から下町にやってくる川本三郎との大きな違い。

川本さんには町への愛情や敬意を感じる。

学者と作家の文章のスタイルの違いだから、仕方ないのかもしれないが、三浦氏の書き方に対して、好感はもてないなあ。

それに、もしかすると全部自分で書いていないかもしれない。

学生かアシスタントに取材させて書かせているかのように思える稚拙な文章も散見される。

比べては失礼かもしれないが「散歩の達人」や「meets regional」のライターの文章のほうが、ずっといいと思う。

紀行文や散歩本が好きだし、自分も書くことがあるから、ぼくが散歩本に求める水準は高いのだ。

荷風研究者の最高峰のひとり持田叙子が書いている川本三郎『荷風と東京』岩波現代文庫の解説文がすさまじくいいので、紹介したい。

上巻140ページあたりに関する解説である。

つまり荷風の一時期愛用した<山形ホテル>をめぐってまず、絵・同時代人の証言・現在のルポルタージュ・「日乗」記述という四種の異素材が重ねられ。谷と窪地多いほぼ八十年前の偏奇館近隣の地理の陰翳をポリフォニックに照射すると同時に、それら消え去り再開発のマンション林立する現在をも指顧する。現在と過去の時間の層さえ孕むのだ。うーむこれを名づけてミルフィーユ・スタイルとも言うべきか

(中略)熟練のパティシエが息を詰めて繊細なミルフィーユの層を作るような、資料収集とそれらを配置する知の力と技量、町歩きの実見がたえず緻密に働いているのだ。

『荷風と東京』は、こんな風に川本三郎さんが自分の足で歩いて発見したワクワク感が満載されているから、名著になった。手を抜けば、あっという間に紋切り型で、平板になりがちな紀行文だけれど、紙上に幻景の町を再現してゆく技は、川本さんならではだと思う。

そんな川本さんの仕事に憧れるのではなく、物書きとしては、少しでも近づきたいと思うのである。

なぜか理由はわからないけど、ずっと前から隅田川沿いの向島あたりの古い町を歩くときにヘッドフォンで聴いてみたいジャズアルバムだと思う、ジャッキー・マクリーンの「スウィング・スワング・スウィンギン」から、一曲目のWhat's Newです。

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