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2012年5月27日 (日)

いまの社会がダメなのは、戦後が何もかもダメだったということ。だから戦前に戻ろうというような乱暴な議論がまかり通る世の中になってしまった。「古きよき戦前」ではなく、「古きよき戦後」を伝えていくのも、いぬいとみこの教え子であるぼくたち世代の使命なのかもしれないと最近感じ始めている。

自分の本が出版されたら、どうしても、いぬいとみこさんのお墓参りをしたくなって、久しぶりにムーシカ文庫卒業生のリーダー的存在である作家の小松原宏子さんにメールを出した。

以前にこのブログにも書いたとおり、小学生時代いぬいとみこさんと出会っていなければ、ぼくは100%本を書くことなどなかったと思う。

小学生時代、作文が大の苦手で、褒められたことなど一度もなかったけれど、本を読むことは好きだった。

家から歩いて10数分の距離にあったいぬい先生の「ムーシカ文庫」によって、ぼくは本を読む楽しさを教えてもらった。

そして、それ以上に、大きく深い影響をうけたのは、それこそ池波正太郎ではないが、自分でお金を出して買った「自前」の本を、地域の子どもたちに貸し出すという彼女の「自前」の思想と運動のあり方だったように思う。

先生が子どもたちに何かを語ったわけではない。

だけど、自分の心の奥底にしっかりと、先生の精神が宿ってしまった。

あれだけの大作家なのに、それを誇るようなそぶりは全く感じなかった。

だから小学生当時のぼくは人の良い、やさしい「本のおばさん」で、自分の本を数冊書いた人くらいにしか、思っていなかった。

だからいまでも威張る奴が大嫌いなんだと思う。

松岡駒吉を中心に友愛会~総同盟の歴史を描いた『ぼくたちの野田争議』と、いぬいとみこは全然関係ないと思っていた。

ところが、小松原さんが編集した『ムーシカ文庫の伝言板』(てらいんく)を読んで、驚いた。

理論社を創業した作家の小宮山量平さんがフランスの三色旗に関連づけて、こんな追悼文を書いていた。

自由についても、平等についても、今やずいぶん烈しく要求が掲げられ、不十分ながら成果も挙がっていると思うんだけれど……そう言えば、あら、博愛なんて明治時代の教育勅語のままの語感で、うす汚れたまま、自由や平等ほど大切にはされていないわ―と、彼女は鋭い直感力で私の言いたいことを忽ち理解するのだった。

(中略)

いぬいさん!今にして戦後の日本が取りこぼしてきた徳目の第一は、なんと言っても、真の「友愛」ではなかったでしょうか。いや、日本だけではありません。世界中が、自由を高唱し、平等を掲げて、近代化のコースを行進することに目覚めながら、いつしか一番大切な「友愛」を置き去りにしてきたような気がします。その友愛という温もりに支えられない自由が如何に虚しいものか、友愛の裏打ちを忘れた平等が如何に物欲に支配され易いものか―世界は今、そんなダメージに苦しんでいるのではないでしょうか。

小宮山さんの文章を松岡駒吉が読んだら、強くうなずいてくれると思う。

いぬい先生と松岡駒吉は、同じプロテスタントのクリスチャンだけど、もっと魂の奥深くで共通するものがあったのかもしれない。

多くの児童文学者を世に送り出した小宮山さんも先月95歳で亡くなった。

戦前と戦後を正しく評価できる人たちが、どんどん亡くなっている。

そして、小宮山さんはいぬいとみこを「戦後創作児童文学のジャンヌ・ダルク」と書いた。

いまの社会がダメなのは、戦後が何もかもダメだったということ。だから戦前に戻ろうというような乱暴な議論がまかり通る世の中になってしまった。「古きよき戦前」ではなく、「古きよき戦後」を伝えていくのも、いぬいとみこの教え子であるぼくたち世代の使命なのかもしれないと最近感じ始めている。

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