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2011年5月 1日 (日)

無人島に持ってゆく一冊

よくある有名人アンケートで、無人島に持ってゆく一冊というのがある。有名人でもなんでもない自分が紹介するなんざ、野暮なことだと承知で、書いちゃうと、僕の一冊は長谷川堯「都市廻廊-あるいは建築の中世主義」中公文庫だね。

毎日出版文化賞受賞作のこの本は残念ながら絶版で、新品は手に入らない。僕は、たまたま本屋で売れ残りを見つけて定価で買った時、興奮して、むさぼるように読んだ記憶がある。

そんな状況だから興味のある人は図書館で借りてくださいとしか言えないのがつらいが、内容のさわりを紹介すると、石川啄木と大杉栄の紹介から始まり、白樺派、クロポトキン、高村光太郎と夏目漱石を経由して、慶應義塾の図書館に関する建築の話に入ってゆくというスタイルで、33年前の作品なのに、まるで興味の赴くままインターネットのリンクをたどって、どんどん読み進むような知的興奮に満ちた評論集である。

僕はこの本で、ラスキンとW・モリスを知り、日本橋を例にとって川から都市を眺める視点を獲得し、北原白秋や木下杢太郎のパンの会を知り、永井荷風の「日和下駄」と江戸と水の東京や路地の東京を知り、今和次郎の考現学を知り、クロポトキンの「相互扶助論」や、香川豊彦や当時の労働争議を知り、E・ハワードの田園都市を知り、大正時代の郊外住宅地への関心へとつながっていった。つまり、僕が面白いと思うもの満載の一冊なのである。

この本を読んで、これらの対象に関心が芽生えたのか、関心があったからこの本を読んだのか、今となってはもう思い出せないが、何度でも読み返す座右の書であることは間違いない。

この本に出会わなかったら、海野弘「モダン都市東京」も、陣内秀信「東京の空間人類学」も、磯田光一「思想としての東京」も、川本三郎「大正幻影」「荷風と東京」も、一生読むことはなかったろう。

いい方にか、悪い方にか、そんなこたぁ誰にもわからないけど、僕の人生を狂わした、ちょいと罪作りな一冊であることは間違いない。

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