ダメなゴッホを好きになった。
金曜日は乃木坂の新美術館、今日は深川の現代美術館とあちこち美術館通いが続く。
正直言って、100点の作品を見て、衝撃を感じるのは1点くらい。
さらに魂を揺さぶられるのは、その中のごくわずか。
セザンヌはキュビズムの理論的支柱でどうとか、スーラの点描画法が云々とか言われても、ちんぷんかんぷんで、「猫に小判」状態
知識があればもっと、見所がわかって、色々楽しめるんだろうけど、あえて勉強しない。
40過ぎて初めてジャズを好きになった時のやりかたで、今アートに接している。
とにかくどんどん接するしかない。
そして嫌いなものをどんどん振り落としてゆくしかない。
とても無駄の多いやり方だから、宝を見つけた時の感動は大きい。
新美術館のオルセー美術館2010「ポスト印象派」展にゴッホの作品が展示されるのは知っていた。
みんなが騒いでいるゴッホは曇りない眼で見て、「つまらん」と振り落とそうと考えていた。
ところがくやしいことにゴッホの作品特に「星降る夜」に目が釘付けになってしまった。
隣の「自画像」をみても、同じように、後から後から感動がわき上がってくる。
どうしてこの人はこんなに泣きたくなるような絵がかけるんだろう。
あとで知ったのだけど、この人は生前まったく評価されず、一枚しか絵が売れないダメダメな人だった。
絵で食べるどころか、教会に行って牧師になろうとしても、うまくいかなかったり、何をやっても時代とずれていて、天才であるがゆえの苦しみは、凡才には理解できないのかもしれないが、そこに宮沢賢治の苦しみと同じようなものを感じ、何かとても共感してしまった。
秋には同じ場所で「ゴッホ展」が開催される。
いまから楽しみだ。
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ゴッホの絵、私も好きです。
巨匠は孤高の人であることが多いし、仰ぎ見る絵は天のものであると思います。そんな絵に触れることができるだけでも幸せですよね。
本物の持つ力は圧倒的で、その力に吸い寄せられる目をしっかり持ちたいのですが、好き嫌いでしか判断できない情けなさ。それはたぶん自分の中にそれを受け止める中身がないからなのだと思います。とにかくたくさん見ることが必要なことでしょうね。石井さんのエネルギーに脱帽!です。
投稿: jamama | 2010年7月28日 (水) 09時41分
necoさんコメントありがとうございます。
ずっと前に書いたはずなのに、私のコメントは消えてたみたい。
昔、あるワカゾーに「下手の横好き」って言われたことがあります。
何をやっても、なかなかまとまりがつかない半端モンな私ですが、どうぞよろしくお願いします。
投稿: 逆流亭主人 | 2010年8月12日 (木) 22時45分