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2009年7月25日 (土)

ゆっくりと荷風の世界に入ろう

今夜は松戸駅近所の居酒屋「ひよし」に行った。

とてもいい店だった。

最近のチェーン展開する居酒屋のような余計なものがないかわりに、必要なものはすべて備えている。

長い歴史が織りなす居心地の良さ。

東京下町の三ノ輪や千住あたりにあるような、まっとうな居酒屋を松戸で発見したという喜び。長いつきあいになればいいと願う。

ところで、このブログで永井荷風のことをいろいろ書いているけど、よく考えれば荷風の読者ってものすごくレアで、女性となるとさらに少ない。

自分だって高校生の時に初めて名前を知ってから、30年以上かけてやっと魅力がわかった。

どうしたらみんなに荷風の作品に親しんでもらえるんだろうって、頭を悩ます。

「葛飾土産」はいいのだが、よく考えればこれもある程度荷風さんを知った人向けの作品かもしれない。

まして文語体で書かれた「断腸亭日乗」など、おすすめできないし。

やっぱり川本三郎経由だろうな。

特に岩波現代文庫で出ている『荷風好日』と『荷風語録』が

がいい。

この二冊を読んだあとに、同じ著者の『荷風と東京』という大著を読んで、わたしは荷風に目覚めたと言っていいだろう。

例えば『荷風語録』は川本三郎が編集した荷風の作品集だが、中でも「深川の唄」がおすすめ。

四谷から両国までの市電に乗っている内に、フランスから帰ってきた荷風が江戸東京に惹かれてゆく心の動きを見事にとらえたロードムービーのような短編小説で、ラストシーンで深川不動尊の境内に夕日があたり、盲目の男の歌沢節と三味線をBGMに、つぶやく場面が大好き。

ちょっと書いちゃいます。

「自分はいつまでも、いつまでも、暮行くこの深川の夕日を浴び、迷信の霊境なる本堂の石垣の下に佇んで、歌沢の端唄を聴いていたいと思った。永代橋を渡って帰って行くのが堪えられぬほど辛く思われた。いっそ明治が生んだ江戸追慕の詩人斎藤緑雨の如く滅びてしまいたいような気がした。」

江戸から一転してニーチェが出てくるこのあとのラストが更にいいんだけど、本を買って読んで下さい。

『荷風好日』なら「東京散策記」や「下町へ向かう」がいいと思う。

そうやって回り道しながらゆっくりと、荷風の世界に近づいてゆく。

そうすると初めて見えてくるものがたくさんあって、一つ一つが美しい宝物として、心の中に蓄えられてゆく。

例えばわたしたちが忘れがちな「季節感」だったり、町の中で聞こえる「微かな物音」だったり。

そうやってだんだん荷風が身近になってゆく。

そんな人生の醍醐味をいま味わっている最中である。

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